用具選び

初心者・初級者におすすめのスキー板

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※この記事では大人、シニアのスキー板選びに関して書いています。キッズ、ジュニア用スキー板選びは「キッズ・ジュニアにおすすめのスキー板」をご覧ください。

初心者・初級者のスキー板選び

  1. 初心者・初級者用スキー板の適切な長さ
  2. 軽くて柔らかいスキー板を選ぼう
  3. センター幅70mmから75mmがおすすめ

①初心者・初級者用スキー板の適切な長さ

ココ

ネットで調べてみると、スキー板はだいたい身長から-5cmから-10cmと出ていたけど、それで大丈夫なの?

ワサビ

1つの目安としてはそれでいいんだけど、特に初心者はもっと短くても大丈夫だよ。

ココ

もっと短いというと?

ワサビ

肩の高さくらいまでの長さなら問題ないよ。

ココ

短いとどういうメリットとデメリットがあるの?

ワサビ

短い板は操作性はいいんだけど、その分だけ安定性が犠牲になっちゃうんだよね。

ココ

そのバランスが大事ってことね。

ワサビ

それにね、同じ「初心者」でも習得の速さに個人差があるんだ。

ココ

それってどういうこと?

ワサビ

例えば、アイススケートローラーブレードなど、「すべる」ということが共通するスポーツの経験者はスキーの習得が早いというケースがとても多いんだよ。こういう人は身長-10cmくらいまでの方が、安定性も得られるからGOOD。逆にあまりスポーツ経験のない人は肩くらいの長さの方が扱いやすくていいかもね。それに体重や体格、脚力という要素も入ってくるんだよね。

ココ

一概に「この長さがベスト」と言える長さはないんだね。じゃあ迷ってる人はみんな、ワサビ君に電話すればいいの?

ワサビ

・・・

一番いいのは、近くにあるスキーショップに足を運んで、知識の豊富な店員さんに「これまでのスポーツ経験」を含めて相談することかな。スキー板は決して安い買い物じゃないから、間違いないようにしたいしね。

ココ

今さりげなく逃げたね(笑)


②軽くて柔らかい板を選ぼう

ワサビ

スキー板って一言で言っても、使われている芯材(木材の種類)や素材(カーボンや金属など)によって、重さや硬さが変わってくるんだ。

ココ

軽い板がいいってのは、なんとなくわかるかも。持ち運びも楽だし、疲れにくそうだし、扱いやすそうだもんね。でも柔らかい板ってのはどういう意味?

ワサビ

スキー板には、フレックス(板のたわみやすさ)とトーション(ねじれに対する剛性)があるんだ。むずかしい話はさておき、簡単に説明すると、カービングスキーは「たわむこと」で本来の性能を発揮できるんだよ。高速で滑る上級者は自分の脚力以外にも、遠心力や落下力などの外力、雪面からの抵抗を利用して硬い板でも「たわみ」を生むことができるんだけど、初心者・初級者は主に低速で滑るので、「たわみやすい」=「やわらかい」板がおすすめなんだ。高速滑走時には雪面からの抵抗が大きくから、ねじれ剛性(トーション)が強い方がよりシビアにスキーを操作できるんだけど、低速で滑る初心者・初級者の場合は、スキー板がある程度ねじれてくれた方が、遊びがあって操作しやすいんだ。もちろんここにも、体重や体格、脚力という要素も入ってくるけどね。

ココ

うーん・・・まあ、とりあえず柔らかい板ね!

ワサビ

(理解してないな・・・)


③センター幅70mmから75mmがおすすめ

ココ

センター幅ってなに?

ワサビ

センター幅は、スキー板の「くびれ」の部分の幅のことだよ。スキー板(カービングスキー)は先端(トップ)が太く、中心部(センター)がくびれていて、後ろの部分(テール)が太くなっているんだよ。

ココ

ボン・キュッ・ボンってことね。でもなんで、70mmから75mmなの?

ワサビ

圧雪されたゲレンデを滑るには、スキー板はブーツの幅より細い方が良いとされているんだ。でも細すぎるとバランスをとりにくかったり、動作にシビアさが求められたりするんだ。

ココ

そうなんだね。ここまでで、なんとなくスキー板を選ぶ目安はわかったけど、実際どのスキー板を選べばいいの?

ワサビ

色んなメーカーが初心者・初級者用のスキー板を製造・販売しているから、各メーカーの特色も踏まえて、初心者・初級者におすすめのスキー板を紹介するね。


22-23シーズン 初心者・初級者におすすめのスキー板

  1. ATOMIC(アトミック)
  2. ELAN(エラン)
  3. HEAD(ヘッド)
  4. ROSSIGNOL(ロシニョール)

①ATOMIC (アトミック)

REDSTER RX + M 10 GW(ユニセックスモデル)(税込定価:49,500円)

サイズ展開:149cm, 156cm, 163cm, 170cm
スペック(163cmの板の場合)
トップ:108.5mm / センター:71mm / テール:98mm / ラディウス:14.9m

  • ワールドカップやオリンピックで多数のメダルを獲得している
  • アトミック独自のテクノロジーであるBEND-Xテクノロジー(スキー板センター部の独特なへこみにより、少ない力でたわみやすい)採用で、楽にターンができるように設計されている。
  • DENSOLITE CORE採用で軽量ながらも振動吸収に優れる(あくまで初級者レベルの振動吸収性)。

おすすめポイント:他社のエントリーモデルスキー板に比べて、ラディウスは小さすぎず、大きすぎ、直進安定性が優れている。本来ならばその分、回転性・操作性が損なわれるが、そこをたわみやすいBEND-Xテクノロジーでカバーしようという、いかにもアルペンレース王者の「アトミックらしい思い切りの良さ」が、初心者・初級者向けのスキー板に感じられる。また、レッドスターシリーズは、初心者・初級者向けだけはなく、中級、上級、エキスパート、そしてワールドカップやオリンピックで選手が使用するFISレースモデルまであるので、同じシリーズでどんどん上達していけるのも魅力。これからどんどん上達していきたい方におすすめ。

②ELAN (エラン)

EXPLORE 6 GREEN LIGHT SHIFT(ユニセックスモデル)(税込定価:57,200円)

サイズ展開:140cm, 146cm, 152cm, 160cm, 168cm
スペック(160cmの板の場合)
トップ:122mm / センター:74mm / テール:103mm / ラディウス:13.9m

WHITE MAGIC LIGHT SHIFT(レディースモデル)(税込定価:57,200円)

サイズ展開:140cm, 146cm, 152cm, 158cm
スペック(152cmの板の場合)
トップ:122mm / センター:74mm / テール:103mm / ラディウス:12.4m

  • 上記2機種は基本的には同じスキー板。サイズ展開とカラーが違うのみ。
  • 「ALWAYS GOOD TIMES」のキャッチフレーズの通り、スキーを純粋に楽しむ板を作るエラン。
  • スキー板先端部にある数か所の掘り込みは、エラン独自のテクノロジーであるGROOVE TIP TECHNOLOGYであり、これにより、初心者・初級者でもスムーズにターンを開始することを可能にする。
  • 完全セパレート式ビンディング(ビンディングの前後のパーツが分かれている)LIGHT SHIFTにより、板のセンター部分にビンディングのパーツがなくすことが可能になった。これにより板本来の自然なたわみを感じることができる。

おすすめポイント:「スキーを楽しみ抜くため」に板を作り続けるエラン。スキーに対する独特なアプローチは、世界初の折り畳み式スキー板や、左右非対称のスキー板など、「楽しむため」の工夫が施されている。ラインアップも初心者からFISワールドカップモデル、フリーライド系まで充実しており、「エランで始めて、ずっとエラン。どこでもエラン」というコアなエキスパートファンも多い。現役スキーインストラクターの目から見て、このエランの初心者・初級者用スキー板は「どこをどうすれば、初心者・初級者が楽しめるか」をとことん追求した知恵の凝縮のように思える。純粋にスキーを楽しみたい方におすすめ。

③HEAD (ヘッド)

SHAPE V2(ユニセックスモデル)(税込定価:メーカー情報なし)

サイズ展開:142cm, 149cm, 156cm, 163cm, 170cm, 177cm
スペック(163cmの板の場合)
トップ:128mm / センター:70mm / テール:108mm / ラディウス:11.0m

PURE JOY(レディースモデル)(税込定価:メーカー情報なし)

サイズ展開:143cm, 148cm, 153cm, 158cm, 163cm
スペック(153cmの板の場合)
トップ:130mm / センター:73mm / テール:107mm / ラディウス:10.1m
  • ワールドカップやオリンピックで多数のメダルを獲得。
  • ERA3.0という独自の技術で、滑走時に発生する望ましくない振動を抑え、ターンの導入をスムーズにし、バランスを崩すミスを起こしにくいように設計されている。
  • きつめのサイドカーブで操作性を強調。
  • 最も薄く軽い上に、その強度はダイヤモンドを凌ぐというグラフィンという物質を採用することにより、軽量ながらも安定性に優れたスキー板をつくることに成功(レディースモデルのPURE JOYに採用)。

おすすめポイント:ワールドカップやオリンピックのアルペンレース、特に、けた外れの安定性が求められる高速種目に強いHEADのスキー。「HEADと言えば安定感」と言われる所以はここにあるのかもしれない。世界中のトップアスリートのフィードバックを積極的に開発に取り入れ、革新的なスキーを生み出している。初心者・初級者用に紹介した上記2機種は、他のメーカーの板に比べて、ラディウス(回転半径)が短いのが特徴。ラディウスが短いと操作性・回転性には有利だが、その分、安定性が犠牲になることもある。しかしながら、HEADは安定性に定評があり、スキー板の安定性に関する技術に絶対の自信を持つ、HEADならではのアプローチだと言える。前述したATOMICのスキー板と正反対のアプローチをしているところが面白い。安定性がありながらも、軽くて楽なスキーで一日中スキーを楽しみたい方におすすめ。

④ROSSIGNOL(ロシニョール)

REACT 2(ユニセックスモデル)(税込定価:59,950円)

サイズ展開:146cm, 154cm, 162cm, 170cm,
スペック(162cmの板の場合)
トップ:123mm / センター:74mm / テール:109mm / ラディウス:13.0m

NOVA 2(レディースモデル)(税込定価:62,150円)

サイズ展開:136cm, 144cm, 152cm, 160cm
スペック(152cmの板の場合)
トップ:122mm / センター:75mm / テール:108mm / ラディウス:12m
  • ATOMICやHEADと並び、ワールドカップやオリンピックで多数のメダルを獲得。
  • タイタナル合金にゴムを組み合わせたものをスキーのトップ部分に装着し、振動を吸収させるという特許取得済みのLine Control Technology(LCT)を初心者・初級者モデルに搭載。
  • 軽快にして安定性が高い。

おすすめポイント:ロシニョールはフランスの老舗スキーメーカー。ロシニョールグループの傘下にはロシニョールを始め、ディナスター、ブーツで有名なラングなどがある。ロシニョールの板は実際の重量もそうだが、それ以上に「軽快に動く」という印象が強い。また特許取得済みのLCTなど、通常、他のメーカーならトップ機種にしか搭載されないようなテクノロジーを惜しげもなく初心者・初級者用のスキー板につぎ込んでいるのは、まさに太っ腹と言えるだろう。意のままに動かせる素直な板は、まさにスキー板の王道と言っても過言ではない。そこには老舗メーカーならではのノウハウが詰め込められているからだ。「何事もまず始めるなら王道から」という方におすすめ。また、レディースモデルは、136cmからサイズ展開されているので、特に小柄な女性のスキーデビューにおすすめ。


ココ

初心者・初級者用のスキー板にも色々とあるんだね。

ワサビ

そうだね。この記事では4つのメーカーを代表して紹介したのだけど、実はまだまだいっぱいあるんだよ。その中から、自分に合った「これだ!」という板を見つけるのはむずかしいんだよね。まあ、それもスキーの楽しみの1つでもあるんだけど。

ココ

うーん・・・せっかく紹介してくれたワサビ君には悪いけど、やっぱりお店で詳しく聞こうかな(笑)

ワサビ

それがいいと思うよ(笑)。でもただ漠然と行くだけはなく、この記事の中で気になったスキー板を1つの目安にして店員さんとお話をすると、納得できるスキー板の買い物がきっとできると思うよ。

ココ

じゃあ、ここまでの私の時間も、そこまでムダってわけじゃなかったのね。

ワサビ

そんな言い方はないよ~(笑)


いかがでしたでしょうか?その他多くのメーカーも魅力のある初心者・初級者用のスキー板を作っているのですが、今回はその中でも特に「初心者・初級者用のスキー板に力を注いでいて、特筆すべき特徴のある」(あくまで僕個人の主観です)メーカー4社をクローズアップしました。また、昨今の世界情勢を踏まえて、ウクライナで生産しているメーカーさんについては、あえて省略しました。早く世界が平和になるといいですね。コメントやご質問、お待ちしております。

ABOUT ME
ワサビ
2児の父。アメリカと日本を行き来する生活。 米国プロスキーインストラクター協会公認上級インストラクターとして、アメリカ西海岸のスキー場を中心に、レッスン、インストラクター研修などを手掛ける。 米大学にて心理学、特に児童発達心理学を専攻。そこで学んだことを生かし、インストラクターとしてスキー活動に従事するようになってからも、大人だけではなく、子供のレッスンも積極的に行う。 また近年では自身の両親にスキーを効率よく教えるため、シニア世代の指導を行う「シニアスペシャリスト」の資格を獲得。子供から大人、シニアまでのあらゆる年代、あらゆるレベルを対象にスキー指導を行う。 ワサビというニックネームは、名前を憶えてなかったアメリカ人同僚インストラクターが間違えて呼んでしまった際に反応したことがきっかけ。本人は実はワサビが少し苦手。 「このブログでは家族みんなでスキーを楽しみ、初心者から初級者、初級者から中級者、上級者へと上達していくために役立つ情報をできるだけ多く共有していこうと思っています。よろしくお願いします。」